ドイツの老舗筆記具メーカーとして世界的な名声を誇る、ペリカンの万年筆。その伝統的なデザインと卓越した書き心地は、多くの文房具愛好家を魅了し続けています。
しかし、いざ購入を検討すると「ペリカンの万年筆の本当に良いところは?」「どこの国の製品なの?」といった疑問や、スーベレーン M400やクラシックといったシリーズの違い、ボールペンやインクのラインナップ、値段が安いモデルの有無など、気になる点が多く出てくるのではないでしょうか。
また、公式サイトで新作をチェックすべきか、モデル一覧で比較検討すべきか、最適な一本を見つけるための情報収集は簡単ではありません。この記事では、そんなあなたの疑問に全てお答えします。
記事のポイント
- ペリカンというブランドの歴史と魅力の核心
- 代表作「スーベレーン」と入門「クラシック」の違い
- 手の大きさや用途に合わせたモデルの選び方
- 万年筆以外の製品や最新情報の入手方法
ペリカンの万年筆が愛される理由
- ペリカンはどこの国のブランド?
- ペリカンの万年筆の良いところは?
- 特徴的なピストン吸入式とインク
- 手に取りやすいクラシックシリーズ
- 値段が安いモデルはあるのか
ペリカンはどこの国のブランド?
ペリカンは、1838年にドイツのハノーファーで化学者カール・ホーネマンが創業した、非常に歴史の長いブランドです。元々は絵の具やインクの工場としてスタートしましたが、その高い技術力を活かして1929年に万年筆の製造を開始しました。このとき開発された万年筆の精密さは、ヨーロッパでも群を抜いていたと言われています。
そのため、ペリカンは「ドイツブランド」として広く認識されており、その製品にはドイツのクラフトマンシップが息づいています。ちなみに、ブランドの象徴であるペリカンの親子像は、創業者のギュンター・ワーグナー家の家紋に由来するものです。
豆知識:現在のペリカン
ドイツで創業したペリカンですが、時代の変遷と共に経営体制は変化しています。1980年代にスイス企業に買収され、本社をスイスに移転しました。その後、マレーシア資本を経て、2023年にはフランスの企業グループに売却されることが発表されています。このように経営母体は変わっていますが、万年筆づくりの伝統や品質は、創業の地ドイツの精神を色濃く受け継いでいます。
ペリカンの万年筆の良いところは?
ペリカンの万年筆が世界中で評価される理由は、主にその卓越した書き心地と、伝統的で飽きのこないデザインにあります。万年筆の「良いところ」を凝縮したような存在と言えるでしょう。
最大の魅力は、ペン先からインクが滑らかに供給されることによる、まるで紙の上を撫でるような書き心地です。これは、長年のインク製造で培われた技術を基に設計されたペン芯と、精巧に作られたペン先の組み合わせによって実現されています。軽い筆圧でもインクが途切れることなく、長時間筆記しても疲れにくい絶妙な重心バランスも、多くの作家やヘビーユーザーに支持される理由です。
ペリカン万年筆の主な長所
- インクフローが潤沢で滑らかな書き心地
- 長時間の筆記でも疲れにくい絶妙な重量バランス
- 一度に多くのインクを補充できるピストン吸入式
- 時代に左右されないクラシカルで美しいデザイン
注意点:インク補充の手間
多くのモデルで採用されている「ピストン吸入式」は、インク瓶から直接インクを吸入する方式です。カートリッジ式に比べて一度に多くのインクを入れられるメリットがありますが、インク瓶を用意する必要があるため、手軽さの面では一歩譲ります。もっとも、このインクを吸入する時間こそが、万年筆を持つ醍醐味であると感じる愛好家も少なくありません。
特徴的なピストン吸入式とインク
前述の通り、ペリカンの万年筆の多くは「ピストン吸入式」というインク補充システムを採用しています。これは、ペンの尻軸を回転させることで内部のピストンが上下し、ペン先からインクを吸い上げる仕組みです。コンバーター式よりも一度にたくさんのインクを保持でき、インク交換の頻度を減らせるのが大きなメリットです。
そして、その万年筆を彩るインクにもペリカンのこだわりが詰まっています。インクは大きく分けて2つのラインナップがあります。
注意点:インク補充とメンテナンスの手間
多くのモデルで採用されている「ピストン吸入式」は、インク瓶から直接インクを吸入する方式です。カートリッジ式に比べて一度に多くのインクを入れられるメリットがありますが、インク瓶を用意する必要があるため、手軽さの面では一歩譲ります。もっとも、このインクを吸入する時間こそが、万年筆を持つ醍醐味であると感じる愛好家も少なくありません。 もちろん、長く愛用するためには定期的な洗浄といったメンテナンスも大切です。具体的な洗浄方法や、万が一のペリカン万年筆の軸が白くなる原因は?修理と洗浄の注意点などを知っておくと、より安心して使い続けられるでしょう。
4001シリーズ
100年以上の歴史を持つ、ペリカンのスタンダードインクです。リーズナブルな価格でありながら品質は非常に高く、日常的に使うのに最適です。カラーバリエーションも豊富に揃っています。
エーデルシュタインシリーズ
ドイツ語で「宝石」を意味する名を冠した、高級インクコレクションです。「インク・オブ・ザ・イヤー」として毎年新しい限定色が発売されることでも知られており、美しいボトルデザインと相まってコレクターズアイテムとしても人気を博しています。
どの色のインクを使おうか、と考える時間は万年筆ならではの楽しみの一つですよね。エーデルシュタインの限定色で、その年だけの特別な色合いを味わうのも素敵です。
手に取りやすいクラシックシリーズ
「ペリカンの万年筆は欲しいけれど、スーベレーンは少し敷居が高い」と感じる方に最適なのが「クラシック」シリーズです。このシリーズは、スーベレーンの特徴的なフォルムを踏襲しつつ、よりシンプルさと機能性に焦点を当てています。
最大の特徴は、本格的なピストン吸入式でありながら、比較的リーズナブルな価格帯であることです。胴軸の素材に樹脂パーツを多く使用することでコストを抑えていますが、書き心地を支えるペン先やインクフローの仕組みは、ペリカンならではの品質をしっかりと保持しています。
また、黒や白の単色モデルだけでなく、M205モデルに見られるような美しいマーブル模様の胴軸も魅力の一つです。深みのあるブルーやグリーンが混じりあったデザインは、手元を知的で爽やかな印象に演出してくれます。
値段が安いモデルはあるのか
はい、ペリカンには値段が比較的安い、つまり手に入れやすい価格帯のモデルが存在します。それが、先ほどご紹介した「クラシック」シリーズです。
代表モデルである「スーベレーン」シリーズが数万円から十数万円するのに対し、「クラシック」シリーズは1万円台から2万円台のモデルが中心となります。もちろん、一般的な筆記具と比較すれば高価ですが、「本格的なピストン吸入式の万年筆」としては、非常にコストパフォーマンスが高いと言えるでしょう。
初めての吸入式万年筆として、また、様々な色のインクを楽しむためのセカンドペンとして、クラシックシリーズは最適な選択肢の一つです。万年筆の楽しさを存分に味わうための、まさに「入門用」として最適な一本です。
ペリカンの万年筆の主要モデル紹介
- 人気モデルを一覧で比較
- 代表作スーベレーン M400とは
- 普段使いしやすいボールペンも人気
- 限定品などの新作情報をチェック
- 詳細は公式サイトで確認しよう
人気モデルを一覧で比較
ペリカンの代表作「スーベレーン」シリーズには、複数のサイズが存在します。それぞれに特徴があり、自分の手の大きさや使い方に合ったモデルを選ぶことが、満足への近道です。ここでは主要な4モデルを比較してみましょう。
モデル名 | サイズ(収納時) | 重さ | ペン先素材 | 特徴・主な用途 |
---|---|---|---|---|
M400 | 約125mm | 約16g | 14金 | 小型軽量で携帯性に優れる。手帳やノートへの筆記に最適。 |
M600 | 約133mm | 約18g | 14金 | M400とM800の中間サイズ。男女問わず使いやすい万能モデル。 |
M800 | 約142mm | 約29g | 18金 | 堂々たる風格と絶妙な重量バランス。存在感があり、デスクでの使用に人気。 |
M1000 | 約147mm | 約33g | 18金 | シリーズ最大・最重量。非常に柔らかく、しなるペン先が特徴。表現力豊かな筆記が可能。 |
サイズ選びは本当に重要です。可能であれば、店頭で実際に手に取って試筆してみることを強くおすすめします。特にM800以上のモデルは重さも増すため、書き味の好みだけでなく、持った時のバランスも確認すると良いでしょう。
代表作スーベレーン M400とは
スーベレーン M400は、数あるペリカンの万年筆の中で、最もスタンダードかつ象徴的なモデルの一つと言えるでしょう。
1950年に発売された「モデル400」の直系の子孫であり、その完成されたデザインとサイズ感は、半世紀以上にわたって世界中の人々から愛され続けています。
その最大の魅力は、約12.5cmというコンパクトなサイズ感と軽さです。
ワイシャツの胸ポケットや手帳のペンホルダーにもすっきりと収まり、どこへでも気軽に持ち運べます。
小ぶりながらも、尻軸にキャップを装着(ポスティング)して筆記すると、手の大きな男性でも満足できる長さとバランスを確保できます。
ペン先には、適度なしなりと柔らかさを持つロジウム装飾の14金が使われており、ペリカンならではの滑らかな書き心地を存分に楽しむことが可能です。
「最初の一本、どれにすれば良いか迷ったらM400」と言われるほど、万年筆の魅力をバランス良く体感できる、まさに王道と呼ぶにふさわしい一本です。
ちろん、長く愛用する大切な一本だからこそ、万が一の軸折れなども修理可能かを知っておくと、より一層安心して使い続けることができます。
普段使いしやすいボールペンも人気
ペリカンは万年筆のイメージが非常に強いブランドですが、実は高品質なボールペンも製造しており、こちらも根強い人気を誇ります。
特に人気が高いのが、スーベレーンシリーズのボールペンです。万年筆と同じ、美しいストライプ模様の胴軸デザインをそのままに、ノック式の使いやすさを実現しています。代表的なモデルとして「K400」や「K600」、「K800」などがあり、万年筆のサイズに対応したラインナップとなっています。
K400 ホワイトトータス
提供された情報の中でも特におすすめとして挙げられていたのが「K400 ホワイトトータス」です。可愛らしさと気品を両立した白と鼈甲(べっこう)柄、ゴールドの組み合わせは、特に女性からの人気が高く、プレゼントとしても非常に喜ばれる逸品です。万年筆は使わないけれど、ペリカンのデザインが好きだという方への贈り物にも最適でしょう。
万年筆とボールペンを同じデザインで揃える「セット持ち」も、文房具好きならではの楽しみ方の一つです。
限定品などの新作情報をチェック
ペリカンの魅力の一つに、毎年発表される限定生産品や特別生産品の存在があります。これらはコレクターズアイテムとしてだけでなく、個性的な一本を求めるユーザーにとっても見逃せない存在です。
代表的なものには、以下のようなシリーズがあります。
- エーデルシュタイン インク・オブ・ザ・イヤー:毎年新しいテーマカラーで発売されるインクと、それに合わせた万年筆。
- 世界の史跡シリーズ:世界の歴史的な建造物をモチーフにしたデザインの限定万年筆。
- M200/M205シリーズの特別色:クラシックシリーズで、毎年新しいカラーやデモンストレーター(透明軸)モデルが発売されます。
これらの新作情報は、発売前に専門店や情報サイトでアナウンスされることが多いです。気になる方は、定期的にチェックすることをおすすめします。
価格改定にも注意
原材料費の高騰などを理由に、定番商品も価格が改定されることがあります。
例えば、2024年にも一部モデルで値上げが行われました。購入を検討しているモデルがある場合は、価格動向にも注意しておくと良いかもしれません。
詳細は公式サイトで確認しよう
この記事ではペリカンの魅力を多角的に解説してきましたが、最新かつ最も正確な情報は、やはりペリカンの公式サイトで確認するのが一番です。
公式サイトでは、現行の全製品ラインナップはもちろん、各モデルの詳しい仕様、そしてブランドの歴史や哲学に至るまで、豊富な情報が掲載されています。特に、前述した限定品や新作の発表は、公式サイトが最も早い情報源となります。
また、【完全版】ペリカン万年筆の偽物見分け方!中古購入時の注意点や、購入後の修理(参考:ペリカン万年筆の尻軸修理ガイド【原因・料金・依頼先】)について不安がある場合も、正規販売店のリストなどを公式サイトで確認できるため安心です。
購入を最終決定する前には、一度目を通しておくことを強く推奨します。

ペリカン万年筆に関するよくある質問(FAQ)
Q. 代表モデル「スーベレーン」には、どのような意味がありますか?
A. 「スーベレーン(Souverän)」とは、ドイツ語で「卓越した」「優れたもの」を意味する言葉です。その名の通り、ペリカンのフラッグシップ(最上位)モデルとして、優れた品質と書き心地を体現するシリーズであることを示しています。
Q. 初めてペリカンの万年筆を買うなら、どのモデルがおすすめですか?
A. 本格的なピストン吸入式を手頃な価格で体験できる「クラシック」シリーズが、最初の一本として非常におすすめです。もしご予算に余裕があり、ペリカンの象徴的なモデルを長く使いたい場合は、コンパクトで扱いやすい「スーベレーン M400」が良い選択肢となります。
Q. 「スーベレーン」と「クラシック」の主な違いは何ですか?
A. 主な違いは、使用されている素材と価格帯です。「スーベレーン」は、美しい縞模様のセルロースアセテート製胴軸や14金・18金のペン先を採用した高級ラインです。一方、「クラシック」は、高品質な樹脂を主な素材とし、ペン先もステンレス製(一部金製)にすることで、より手に入れやすい価格を実現しています。
あなたに合うペリカンの万年筆を
- ペリカンはドイツで創業した老舗筆記具ブランド
- 現在はスイスに本社を置くがドイツの精神を受け継ぐ
- 代表作は「卓越した」を意味するスーベレーンシリーズ
- 緑縞に代表されるストライプの胴軸はセルロースアセテート製
- インクを大量に保持できるピストン吸入式が大きな特徴
- ペン先は高品質な金を使用し滑らかな書き心地を実現
- サイズ展開が豊富で手の大きさや用途に合わせて選べる
- M400は携帯性に優れたコンパクトな定番モデル
- M800は存在感と絶妙なバランスでデスクワークに最適
- M1000は非常に柔らかいペン先で表現力豊かな筆記が可能
- クラシックシリーズは本格吸入式を手頃な価格で楽しめる入門機
- 美しいマーブル模様のデザインもクラシックシリーズの魅力
- 万年筆だけでなく同デザインのボールペンも人気
- エーデルシュタインなど高品質な純正インクも展開
- 毎年発表される限定品や特別生産品は要チェック